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地盤調査とは?期間・費用から調査方法・結果の見方まで徹底解説

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地盤調査とは?期間・費用から調査方法・結果の見方まで徹底解説

住宅などを建てる際、工程の1つに地盤調査があります。地盤調査の方法や期間、費用など住宅のタイプによって異なり、適切な種類の調査を選択することが大切です。また、種類によってメリット・デメリットがあるため、調査前によく確認した上で決めましょう。

当記事では、地盤調査の意味・期間と費用・調査が必要なタイミングについて解説します。調査方法の種類や結果の見方、調査で問題が見つかった場合の対処法などもまとめているので、地盤調査の予定がある人はぜひお役立てください。

1.地盤調査とは

地盤調査とは、建物の建設工事を始める前に、土地の地盤に問題がないかを確認する調査です。重量のある建物を建てるためには、地盤に十分な強度がなければなりません。地盤が弱い土地へ対策なしに建物を建てると、建築物の重さや地震などによって建物が傾いたり、地盤沈下を起こしたりする恐れがあるためです。

工事を実施する前には、地盤の強さに対してどこまでの重さなら耐えられるか・どのような構造にすれば安全性が確保できるかを計算します。この計算を「構造計算」と言い、正確な結果を求めるためには地盤状況の把握が必須です。

調査結果で十分な地盤強度がないと判断された場合、土地の軟弱さや性質に合わせて地盤改良工事を行うことで、堅固な建物を建築できるようになります。

1-1.地盤調査にかかる期間と費用

地盤調査にかかる期間・費用相場は、調査方法によって異なります。一戸建て住宅の地盤調査で多く採用される「スウェーデン式サウンディング試験」の場合、半日~1日程度・5万~10万円程度が目安です。「ボーリング調査」であれば、1日~数日程度・20万~30万円程度を見ておけばよいでしょう。

ただし土地の広さや地盤の状況によっては、当初指定した日数や費用で調査が終わらない可能性もあります。調査自体は終了しても、正確な地盤調査報告書が提出されるまでにはさらに数日かかるケースが一般的です。また地盤に問題が見つかり改良工事を行う場合は、さらに50万~100万円程度の工事費用が発生します。

【地盤調査にかかる期間と費用の目安】

調査方法 期間(速報) 費用
スウェーデン式サウンディング試験 半日~1日程度 5万~10万円程度
ボーリング調査 1日~数日程度 20万~30万円程度

1-2.地盤調査が必要なタイミング

地盤調査が必要となるタイミングは、土地へ建物を建てる前です。新しく購入した土地に注文住宅を建てる場合、既存の中古住宅を建て替える場合のどちらでも調査しておく必要があります。ある程度住宅のプランが固まったところで、地盤が必要な強度を備えているか調査する流れが一般的です。

土地の購入前や中古の住宅を購入する場合、売主が調査の許可を出したり地盤調査報告書を保管していたりすれば、事前に確認することができます。建売住宅を購入する場合は、事前に地盤調査が行われているケースがほとんどです。こちらは購入前に地盤調査報告書を確認するとよいでしょう。

2.地盤調査の主な種類|用途とメリット・デメリット

地盤調査にかかる期間と費用の項目について説明した際に紹介した通り、地盤調査には複数の種類があります。一戸建てを建築する際の地盤調査では、その中でも「スウェーデン式サウンディング試験」「ボーリング調査」の2つを用いるケースが大半です。

「スウェーデン式サウンディング試験」は一戸建ての地盤調査方法として、広く採用されています。「ボーリング調査」はマンションなどの大規模建築物、地下のある建物を建築する際の調査方法として一般的です。ただし、住宅のタイプによって最適な地盤調査の方法は異なるため、どちらを採用すべきかは設計者や施工会社に確認しましょう。

ここでは、「スウェーデン式サウンディング試験」と「ボーリング調査」のメリット・デメリットを紹介します。

2-1.スウェーデン式サウンディング試験

スウェーデン式サウンディング試験は、地面へ鉄の棒(ロッド)を貫入させ、錘(おもり)を乗せて回転させたときの沈み方によって地盤の硬軟を判定する試験です。一戸建ての場合は建物の四隅と中央部分を合わせ、5~7地点・深度10m程度を測定します。

2020年10月26日のJIS改正により、正式名称がスウェーデン式サウンディング試験からスクリューウエイト貫入試験(SWS試験)へ変更されました。

【スウェーデン式サウンディング試験のメリット】

  • 調査期間が半日~1日程度と短く済む
  • 地盤調査費用が比較的安い
  • 敷地全体のリスクをざっくりと把握できる

【スウェーデン式サウンディング試験のデメリット】

  • 調査する土地の広さによっては正確性が下がる
  • 地層が硬すぎたり土中に大きなコンクリート片などがあったりすると、深部まで調査できない

2-2.ボーリング調査

ボーリング調査は、ボーリング機械を用いて地面に開けた穴へハンマーを落下させ、地盤の硬軟を判定する比較的大掛かりな試験です。地盤の深部まで調査でき土も採取することで、地盤の土質・地層構成・地下水位・液状化判定・土壌汚染状態なども調査できます。作業には広い空間を必要とするため、建物があると調査できません。

【ボーリング調査のメリット】

  • 地盤の持つ強度や危険性を正確に把握できる
  • 地面の表層だけでなく数十m以上の深部も調査できる
  • 硬い地盤や瓦礫などが多く埋まっている土地も調査できる

【ボーリング調査のデメリット】

  • 調査機械が大きく、1か所の調査に約5m四方の面積・高さが必要となる
  • 地盤調査費用が比較的高い
  • 調査期間は1日~数日程度は必要となる

3.地盤調査の結果の見方

地盤調査が終了すると、地盤調査報告書や地盤情報レポートがまとめられます。報告書は専門用語が多く分かりにくい上、地盤調査会社によって多少表記に差があるため、知識がなければ地盤データを完全に読み解くことは困難です。

地盤改良工事の必要性だけを知りたいのであれば、自沈層の有無を確認すれば自分でもおおよその見当が付きます。自沈層とは、スクリューを回転させずとも錘の重さだけでロッドが沈んでしまう柔らかな地層です。

報告書を確認する際は、下記の点に注目しましょう。

  • 盛り土がされているか
  • 半回転数が「0」の項目がいくつあるか
  • 荷重が75kg以下の項目がいくつあるか
  • 弱い地層は地面から何mの部分にどのくらいあるか
  • 貫入状態の項目に「ストン」の記載があるか

ただし数値や表記が同じでも、複数の条件が重なることで地盤に問題が生じる場合もあります。あくまでも目安として考え、設計士や施工会社などの専門家に正式な判断を仰ぐことが大切です。

次に、地盤調査の結果に問題があった場合の対処法を紹介します。

3-1.地盤調査の結果に問題があった場合の対処法

地盤調査の結果に問題が見られた場合、地盤の改良工事が必要となります。一戸建ての地層に用いられる地盤改良工事は、主に以下の3種類です。

●表層改良工法

比較的浅い場所に硬い地盤がある地層に適しており、地下2m程度までセメント系の固化材を流し込み、地盤を補強します。弱い地盤が地表から2m以内に収まっていれば、この工法を用いることが可能です。建物の面積約20坪に対し、50万円程度が相場となります。

●柱状改良工法

地面に開けた穴へセメント・水・土を流し込み、地中でコンクリート製の柱にする地盤補強方法です。弱い地盤が地表から8m以内に収まっていれば、この工法が選択されます。建物の面積約20坪に対し、100万円程度が相場です。

●鋼管杭工法

地面に開けた穴へ鋼管を打ち込み、地盤を補強する方法です。地表から30m程度の深い地層まで地盤を補強でき、工事期間も短めで作業場所が狭くても施工できます。建物の面積約20坪に対し、100万円程度が相場です。

地盤改良工事には多額の費用がかかるため、問題が見付かったときに誰がどのくらいのコストを負担するかを事前に決めておくことが大切となります。

まとめ

地盤調査とは、建設工事を始める前に、土地の地盤に問題があるかどうかを確認する調査です。

重量のある建物を建てる際に必要となる調査で、種類によって期間や費用が異なります。スウェーデン式サウンディング試験は、半日~1日程度・5万~10万円程度が目安です。ボーリング調査は、1日~数日程度・20万~30万円程度が目安となります。

地盤調査の結果には専門用語が多く、地盤調査会社によって表記が違う場合もあるため、問題の有無については専門家に正確な判断を仰ぎましょう。地盤に問題があった場合、地盤の改良工事が必要になります。コストの負担については、事前に決めておくとスムーズに工事を進められるでしょう。

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