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【2023年版】家を買うときに消費税はかかる?計算方法も解説

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【2023年版】家を買うときに消費税はかかる?計算方法も解説

家の購入には数千万円以上の金額が必要となるため、購入のときには税金がかかります。特に、購入金額に応じて支払額が大きくなる消費税は、大きな負担となります。ただし、家を購入する際に発生するすべての費用に消費税が発生するわけではありません。課税対象となる費用が何か、ならない費用が何かをあらかじめ把握しておけば、資金計画を立てる際に役立つでしょう。

この記事では家を買うときに消費税の課税対象となる費用・ならない費用や、消費税額の計算方法、中古住宅の消費税、そのほかの税金の予備知識を解説します。

1.新築住宅を買うときには消費税がかかる

新築住宅を建てるときは、さまざまな費用に対して消費税が発生します。予備知識として課税対象や大まかな金額を把握しておくことで、スムーズな資金計画につながります。

住宅購入時に消費税の課税対象となる主な費用項目は、下記の4つです。新築する場合も、建売住宅を購入する場合も違いはありません。

  • 住宅の建物部分の費用
  • 仲介手数料
  • 司法書士への報酬
  • 住宅ローンの融資手数料や事務手数料

法人が売主となる場合、住宅の建物部分に対する費用は課税対象となります。新築住宅を購入するとき、住宅メーカーなど法人が取引相手となるケースが一般的です。よって新築住宅の購入は、基本的に建物部分への消費税が発生すると言えます。

住宅購入に関する取引を進める上で、不動産会社や司法書士などさまざまな専門家の協力を得ます。不動産会社などに支払う仲介手数料や司法書士への報酬も、消費税の課税対象です。

また、住宅ローンを利用する場合は、融資手数料や事務手数料も課税対象となります。

1-1.新築住宅を買うときに消費税がかからないもの

住宅購入時に発生する費用の中には、消費税の課税対象外となっているものもあります。課税対象とならない主な費用は、下記の4つです。

  • 土地代
  • 住宅ローンの保証料
  • 火災保険や地震保険の保険料
  • 各種税金

土地の譲渡・貸付においては、取引相手が個人・法人のいずれであっても非課税となるため、建物部分の費用に対してのみ消費税が発生します。ただし住宅ではなく、駐車場や野球場などの施設利用を目的とする場合・貸付期間が1か月未満の場合などは、土地の用途や取引内容によっては生じた利益が課税対象となります。

出典:国税庁「No.6213 駐車場の使用料など」

また、住宅ローンに関する費用のうち、保証料は消費税の課税対象外です。借入額に対して生じる利子も、非課税となっています。ほかにも、支払う各保険料や税金に関しても、消費税を支払う必要はありません。

消費税の課税対象か否かを判断するとき、サービスなど事業への対価であるかが判断基準となります。保険料や各種税金は事業への対価ではないため、課税対象外です。

2.家を買うときに必要になる消費税の計算方法

新築住宅を購入するときに発生する消費税は、計算である程度把握できます。人によっては司法書士に依頼せず自ら登記などの手続きをすることもあるため、基礎知識として、住宅購入に関する消費税の計算方法のみ紹介します。

  • 土地代:2,500万円
  • 建物代:3,000万円
  • 仲介手数料:171万円

上記の新築住宅を購入したと仮定した場合、消費税の計算方法は下記の通りです。

  • 土地代=非課税のため0円
  • 建物代3,000万円×税率10%=300万円
  • 仲介手数料171万円×税率10%=17.1万円

土地代に対しては消費税がかからないため、消費税の計算は建物代と仲介手数料のみとなります。2023年7月時点の税率10%で計算すると、それぞれの消費税は建物代が300万円、仲介手数料が17.1万円です。

消費税が物件価格のどの部分にいくら課せられているか知っておくと、合計金額から建物代を割り出すこともできます。土地代との合計金額が5,000万円で消費税が300万円の場合、建物代は3,000万円と推測できます。

3.売主が個人の中古住宅は消費税が非課税になる

建物部分に消費税が発生する条件は、売主が法人であることです。中古住宅の場合は個人が売主となるケースがあるため、その場合は建物部分に対しても土地代と同じく非課税となります。

ただし、中古住宅であっても仲介手数料に対する消費税が発生します。仲介手数料は取引にともなう仲介サービスへの対価であり、土地代や建物代とは切り離して考えるべき費用です。

また、コストを抑える目的で中古住宅購入を検討している場合は、デメリットに注意が必要です。中古住宅を購入すると住宅ローンの審査が厳しくなったり、物件によっては多額の修繕費が発生したりするおそれもあります。

状況によっては削減した消費税以上の出費となる可能性も考えられるため、費用重視で中古住宅購入を検討している方は慎重に判断しましょう。

3-1.非課税になる中古住宅を見分ける方法

中古住宅の売主は、大きく分けて「不動産会社などの法人」と「個人」の2種類です。不動産ポータルサイトなどで住宅探しをする場合、物件の売主が消費税の発生する法人か、非課税となる個人か見分ける方法があります。

見分けるポイントは、物件概要欄など詳細が書かれている部分の「取引態様」の確認です。取引態様とは、不動産会社がどのような形で取引に関与してくるのかを表すための項目です。取引態様に「代理」または「媒介(仲介)」と記載されている場合、不動産会社が物件を直接所有しているわけではなく、ほかに売主がいることを表します。

一方、取引態様に「売主」と記載されているものは、不動産会社が直接所有している住宅を売却しているため、消費税非課税の対象とはなりません。

ただし、代理や媒介(仲介)の物件には、ほかの不動産会社が売主となっている場合があります。よって、常に代理や媒介(仲介)の物件の所有者が個人とは限りません。最終的には取り扱っている不動産会社に、個人が所有する物件であるかどうかを尋ねるとよいでしょう。

4.住宅購入時にかかる税金の予備知識

費用を抑えて住宅購入するためには、予備知識が必要です。税金の優遇措置や控除制度の種類を把握しておくと、出費を抑えたり手元に戻ってくるお金を増やしたりできます。

住宅購入時にかかる税金について、押さえておきたい予備知識を3つ紹介します。

4-1.消費税以外にも固定資産税や不動産取得税が必要になる

住宅を購入するとき、消費税のほかにかかる大きな税金が固定資産税と不動産取得税の2つです。

固定資産税とは所有している不動産に対して発生する税金で、毎年納める必要があります。東京都または各市町村が設定している固定資産税評価額に一定の税率をかけて算出され、毎年1月1日時点で不動産を所有していた人物が納税義務を負います。

不動産取得税とは、住宅などの不動産を取得したときのみに発生する税金であり、税率は全国一律で4%です。固定資産税のように、毎年課税されることはなく、各都道府県から課税されるため、納付時期は地域によって異なります。

また、印紙税や登録免許税、都市計画税などの税金が発生するほか、住宅の所有権や住宅ローンの抵当権を登記するときには登録免許税が発生します。司法書士に依頼する場合も、報酬とは別に登録免許税の納付が必要です。

4-2.税金の軽減制度が存在する

住宅の購入は金銭的負担が大きいため、各種税金に対して軽減措置が設けられていることがあります。軽減措置を受けられる税金や費用は、2023年7月の時点では、主に下記の5つです。

【一般住宅向けの税制優遇制度】

登録免許税
  • 所有権保存登記:0.4%→0.15%
  • 所有権移転登記:2.0%→0.3%
不動産取得税 4%→3%(くわえて固定資産税評価額から1,200万円控除)
固定資産税 購入時点から3年間は税率が1/2
印紙税 1億円以下なら税率が1/2、1億円を超える場合は金額に応じて軽減率増加
住宅ローン控除 0.7%控除(借入限度額は最大3,000万円まで)

登録免許税は、土地の所有権の移転に対する税率を本則の2.0%から0.3%に軽減しています。不動産取得税も4%から3%に軽減されており、加えて税額を計算する際に使用する固定資産税評価額が、新築住宅の場合は1,200万円控除されます。ただし、いずれも2024年3月31日までの期限つき特例である点に注意が必要です。

固定資産税は新築住宅の購入時から3年間、税率が2分の1まで軽減されます。印紙税も、1億円以下までであれば納める税金は半額です。1億円を超える場合はさらに軽減措置がとられるため、土地代の高額な人気エリアでの新築住宅にも活用できます。

また、住宅ローンは所得税控除の対象です。一般住宅の場合は、2023年中に建築確認を受ければ、13年間は0.7%の住宅ローン控除を受けられます。ただし、2024年以降に建築確認を受ける場合、省エネ住宅でない住宅は控除を受けられない点に気をつけましょう。

4-3.省エネ性能の高い住宅は税制優遇される

長期優良住宅または低炭素住宅の省エネ性能に優れた建物の場合、さらに税金が軽減されます。

【省エネ住宅向けの税制優遇制度(長期優良住宅の場合)】

登録免許税
  • 所有権保存登記:0.1%
  • 所有権移転登記:0.2%
不動産取得税 固定資産税評価額から1,300万控除
固定資産税 戸建:購入時点から5年間は税率が1/2
住宅ローン控除
  • 2023年中に入居すれば借入限度額5,000万円
  • 2024年~2025年に入居すれば借入限度額4,500万円

たとえば登録免許税は一戸建てであれば保存登記が0.1%、移転登記が0.2%に抑えられ、固定資産税や所得税にも減税措置が設けられています。また、住宅ローン控除枠は2024年以降に入居する場合、長期優良住宅などの省エネ住宅でなければ受けられません。

省エネ性能の高い住宅を建てる場合は、補助金制度も利用できます。費用をより安く抑えたい方は、物件の状況に適した補助金制度はないか自治体に相談しましょう。

まとめ

新築住宅を建てるときには、建物部分の費用、および不動産会社の仲介手数料・司法書士の報酬・住宅ローンの融資手数料や事務手数料に消費税10%がかかります。一方で土地にかかる費用や住宅ローンの保証料、各種保険料や税金に対しては消費税がかかりません。また、個人が売主となる中古住宅の場合は建物部分について消費税は課税されません。

また、消費税以外にも、住宅購入時には固定資産税や不動産取得税といった税金が発生します。各種税制優遇制度が用意されており、特に省エネ住宅は税制優遇制度の軽減率が高いため、住宅を建てる際には確認しておきましょう。

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