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ダニが繁殖しやすい温度・湿度は?季節ごとのダニ対策を紹介

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ダニが繁殖しやすい温度・湿度は?季節ごとのダニ対策を紹介

ダニの発生や繁殖には条件があるものの、1年中潜んでいるため季節を問わず対策する必要があります。発生したダニを放置するとアレルギーを発症する恐れがあるため、ダニが嫌う温度・湿度を徹底して環境の改善に努めましょう。

そこで今回は、ダニが発生・繁殖する原因からダニによる害、ダニが死滅する温度・湿度、季節ごとのダニ対策を紹介します。ダニの発生・繁殖を抑え、快適な環境で暮らしたい人はぜひ当記事をお読みください。

1. ダニが発生・繁殖する原因は?

家の中にダニが発生するには一定の条件があります。ダニが好む条件が揃うと、家の中に侵入して繁殖を始めます。ダニの発生・繁殖を防ぐには、まず原因を知ることが大切です。

ここでは、ダニが発生・繁殖する原因となるポイントを解説します。

1-1. 温度

ダニは夏場などの暖かい季節に多く発生します。ダニはある程度温度が高いほうが発生・繁殖しやすいという性質をもつためです。

低温になると繁殖能力は衰えるものの、死滅するわけではありません。温度が高くなると再び活発に繁殖する恐れがあります。

1-2. 湿気

ダニの発生・繁殖には湿気も大きく関わっています。ダニは、高い湿度で発生・繁殖が活発化する点が特徴です。夏場にダニが発生しやすいのは、高温であるのにくわえて湿度の高さも原因となっています。

水回りや換気が不十分な場所はダニが大量に発生しやすい環境です。特に布団の中は寝汗で湿気を含みやすく、ダニの住処としては最適な場所です。

1-3. カビや食べかすなどのエサ

生き物はエサが豊富にある場所を好みます。ダニも例外ではなく、エサがある場所に住み着いて繁殖します。

何を食べるかはダニの種類によって異なり、家の中に発生するチリダニはカビ・食べかすにくわえ、人間から出るフケやアカを食べるのが一般的です。イエダニは名前から受けるイメージとは異なり、普段は屋外で鳥類やネズミに寄生して吸血し、時にはネズミなどを介して家の中に侵入し人の血液を吸うこともあります。

カビや食べかすなどであれば、掃除や洗濯によって清潔を保つことである程度減らせるものの、人間の生活の場から完全にダニのエサをなくすのは難しいでしょう。

2. ダニの発生・繁殖による害

ダニが発生・繁殖すると、人体に次のような悪影響を及ぼします。

噛まれる・刺されることによる健康被害
ダニには、人を噛んだり刺したりする習性をもつものがいます。家の中で発生するツメダニは人を噛み、外から入り込む恐れがあるイエダニは吸血時に人を刺すダニです。

ツメダニ・イエダニともにお腹や太もも、二の腕などのやわらかい部分を噛みます。ダニに噛まれたり刺されたりすると強いかゆみや腫れが起きるため、お腹や太ももなどに集中してかゆみや腫れが起きた場合は、ダニが原因と考えてもよいでしょう。

また、動物に寄生するイエダニに刺されると、ネズミなどがもつ感染症に感染する危険性もあります。

アレルギーによる健康被害
ダニの死骸やフンはアレルギーの原因にもなります。ただし、すべての人がアレルギー症状を起こすとは限りません。ダニアレルギーの素因をもつ人にアレルギー症状が起こると言われています。

ダニの死骸は、布団たたきをすると鼻や口から吸いこめるほど細かく砕かれ、ホコリやチリの中に紛れます。ダニの死骸やフンを吸い込むことで、アレルギー性鼻炎・目やのどのかゆみ・アトピー性皮膚炎・喘息などの症状が起こるのが一般的です。ダニアレルギーの症状には花粉症に似たものも多く見られますが、ダニアレルギーの場合は花粉症などと異なり1年中起こるケースがあります。

コナダニ・ヒョウダニといった小麦粉などの粉類をエサとする種類のダニは、粉類に混入する場合があります。加熱してもアレルゲンが残り、誤って食べるとアレルギー症状としてじんましんやかゆみなどが出るのが一般的です。まれではあるものの、ひどい場合は呼吸困難など命に関わる症状が現れるケースもあるため、粉類などは密閉容器などに入れて注意深く保管する必要があります。

出典:一般社団法人日本アレルギー学会「ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き(改訂版)」

なお、自分がダニアレルギーの素因をもっているかどうかは、血液検査や皮膚検査で調べられます。

出典:たなか小児科・アレルギー科「ダニアレルギー」

ダニによる害は、不快感をもたらすものから重大な健康被害を引き起こすものまでさまざまです。ダニや死骸・フンは目で認識しにくく、知らず知らずのうちに被害に遭うことがほとんどです。

3. ダニが発生・繁殖しやすい温度・湿度

ダニが繁殖しやすい環境は、温度が25℃前後、湿度が65%以上と言われています。

ダニは基本的に、梅雨から秋口にかけての高温多湿な環境を好み、夏場にも繁殖しやすい生き物です。梅雨から秋口にかけては冷暖房で室内温度が25℃前後に保たれることが多く、冬場でもダニが好む条件が揃いやすくなります。

冬場は湿度が下がる地域がほとんどですが、暖房で窓が結露すると湿度が高まり、ダニが活発化する恐れがあります。

3-1. ダニが死滅する温度は60℃以上・湿度は50~55%以下

ダニは高温多湿を好む生き物ですが、極度の高温には耐えられません。温度が60℃以上になるとダニは死滅します。またダニは乾燥状態にも弱く、湿度が50〜55%以下の環境になると生きられないとされています。

4. 季節に合わせたダニ対策

ダニが発生・繁殖しやすい時期はあるものの、1年中家の中に潜み、活動する恐れがあるため1年を通しての対策が必要です。梅雨から夏にかけては高温多湿でダニが好む環境になりやすく、徹底した対策が求められます。

ここからは、季節ごとにおすすめのダニ対策を紹介します。日頃からダニの嫌がる環境作りを意識し、生活の中にダニ対策を取り入れましょう。

4-1. 【冬~春】ダニ除けスプレーや掃除機でダニを除去する

夏は、数十万~数百万匹単位でダニが増殖する季節です。冬から春にかけては、ダニ除けスプレーや掃除機を使ってダニを減らし、本格的な繁殖期に備えるのが鉄則です。

ダニ除けスプレーは布団やソファ、ラグマットなど、ダニが多く潜む場所にまんべんなく吹きかけましょう。

掃除機をかけるタイミングは、スプレーでダニ退治をしたり、布団であれば天日干しや布団乾燥機でダニを表面に追いやったりした後が最適です。表面に出てきたダニを掃除機で吸い込むことで、ダニの数を効果的に減らせます。

4-2. 【夏】こまめな除湿・換気で屋内の風通しを良くする

夏のダニ対策は湿度のコントロールがポイントです。こまめな除湿や換気によって屋内の風通しをよくし、ダニの繁殖を防ぎましょう。

冷房をつけた部屋は室温が25℃前後に保たれやすく、ダニの繁殖に適した環境になります。除湿・換気で湿度を下げることで、人間にとっても快適な気温を保ちながらダニの活動を抑制できます。

また、洗濯できる布団やカーテンなどに対しては、洗濯機の乾燥機能でダニの住処を乾燥させるのも有効です。布団などが家庭用洗濯機には入りきらない場合は、大型の洗濯乾燥機を備えたコインランドリーを利用するのも1つの方法です。乾燥機能を使う前に丸洗いする際は、水洗いをおすすめします。

4-3. 【秋】除湿剤や脱酸素剤で湿度を下げる

秋は、夏に引き続き湿度を下げることが大切です。除湿剤やシリカゲルなどの脱酸素剤を活用して、主に布団などの湿度を下げましょう。

秋は布団が夏物から冬物に代わる時期でもあり、季節外れの布団を布団圧縮袋などで保管する人も少なくないでしょう。布団を除湿剤や脱酸素剤とともに保管することで、布団の中で生き残っているダニの繁殖予防やカビ対策が行えます。

保管前や保管していた布団類を使う前には、天日干しをした後に掃除機をかけるのも有効です。天日干しをすることで、ダニやフン・死骸を減らした状態で保管・使用ができます。

まとめ

家の中に発生するダニを防ぐには、ダニが苦手とする環境作りが大切です。ダニは高温多湿を好むため、除湿・換気で繁殖を抑えましょう。ダニは温度は60℃以上、湿度は50~55%以下で死滅します。また、人が生活する上で出す食べ物のかすもダニのエサとなるため、日頃からこまめに掃除をすることも大切です。

ダニの対策方法は季節によって異なります。当記事で紹介した対策方法を実践し、健康被害が起きない、快適な空間を作りましょう。

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